用語集GLOSSARY
鳴鳳 めいほう
湖東焼の絵付師である鳴鳳は元来寺侍で、茶道や俳句、書画を嗜む風流人だったと伝わっています。嘉永年間(1848-54)までには妻子と弟の鸞栄を伴い彦根に入り城下裏新町(現在の船町)に住んだようです。
湖東焼の藩窯時代には繊細な絵付けをする絵付師達が藩に召し抱えられましたが御用窯ということから絵付師個人の銘が作品に記されることは一部の例外以外はありませんでした。
鳴鳳は銘を記すことを藩から特別に許された客分待遇の絵付師で、同時期に招かれた幸斎と双璧をなし、井伊直弼(宗観)のお気に入りの陶工であったようです。そのため鳴鳳の銘のある作品はそのほとんどが井伊家内に伝来しています。金襴手や赤絵金彩の繊細な柔らかいタッチの筆使いによる作品が主になっています。『二重線四角内に湖東』に合わせその右下部に『鳴鳳』の書き銘を作品に入れるのが基本のようです。
安政年間の初めには彦根を去り伊勢の万古焼の窯場に移り、滞在期間は数年と短いながらも藩窯湖東焼を代表する作品を多く残しています。